4/23南アフリカのリカオンのウェビナーに参加したまとめ
4月23日に南アフリカのリカオンの保護団体Endangered Wildlife Trustのコールさんのウェビナーが開催されました。英語に自信がなかったので、YouTubeに投稿された動画をアメリカの友達と一緒にズームでみながら内容を確認しました。
ウェビナーでお話してくれたコールさんはリカオンのために尽力をしてくださっており、テンベエレファントパークのリカオンがずっとボマにとじこめられていたところを、助け出してくれたりしています。
このウェビナーは途中で少し涙がでそうになる話もありましたが、リーシェという名前のリカオンについて、コールさんが何故リカオンに惹かれるのか、リカオン好きな人間には大変共感できるお話となっておりました。
コールさんは2012年から南アフリカのEndangered Wildlife Trustでリカオンのモニターを開始し、当時スーパー6と呼ばれる6頭のリカオンを研究を始めました。リカオンが罠にかかりひどい怪我をしたり命を落としていたため、コールさんは早急にモニターのスキルを上げる必要がありました。
キャッシュ、ウォーターズ、タンディーファ、タンダディーレ(アルファメス)、コール、そしてリーシェ(3本足のリカオン)の写真。
コールさんは1日に2回外でモニタリングを行い、車や足でリカオンを追って研究をしていました。
ある日、タンダディーレが群れを引率しているのが普通なのに、いないので、おかしいなと思っていたら、首に針金の罠が絡みついていました。タンダディーレはちょうど妊娠していたところで群れは彼女を必要としていたし、コールさん自身も彼女が必要でした。そこで何時間もかかって麻酔銃で眠らせてタンダディーレの首にかかった罠を取り外し、目隠しをして車まで連れて行きましたが、その時リーシェはいつも後ろをついてきてました。タンダディーレは妊娠5週間でしたが無事に回復しました。
巣穴にカメラを設置し、タンダディーレの子リカオンが7頭無事にうまれました。また、ベータメスであるタンディーファも同時期に妊娠しており、数週間遅れて8頭のリカオンがうまれて1キロ先の巣穴にいました。普通であれば一つの群れにアルファペアは1対ですが、この群れは戦略的に半分に別かれたのです。
1つの巣穴にはタンダディーレ、ウォーターズ、そしてリーシェ、
2つ目の巣穴にはタンディーファ、キャッシュと2頭の雄
この二つのグループは母がそれぞれの巣穴で子守をし、グループで一緒になって狩りに出かけ、それぞれの巣穴に戻ります。15頭の子リカオンを無事に育てるために戦略を考えたことにコールさんは大変感動したと言っております。
数ヶ月後、両方のグループはみんなで巣穴を移動しました。一箇所に長期滞在すると、においがつき他の捕食獣にバレたりするため巣穴を移動します。その時の大移動が動画に収められています。
15頭の子リカオンは無事に育っていきました。素敵な写真で説明が続きました。
小さい方がタンディーファの子供、3週間遅れで生まれたので少し体が小さいのです。
じゃれて遊ぶ子リカオンたち
ハエをみる子リカオン
初めて水辺にいって水にはいった子リカオン
左がリーシェ、リーシェはよく子守をしていて、写真右側に座った子リカオンたちに学校を開いています。後ろの方には大人のリカオンたちがいます。
リーシェです。リーシェは3本足です。群れは6頭から21頭と大家族になり強くなって行きました。リーシェはその中でとても面倒見がよくて、いつもなにかあればサインを出して知らせていました。アルファが狩りに行っている間もよく子守をしてました。
子リカオンたちが10週間ほどの時に異変がおきました。リーシェがコールさんの前に現れて、フーコールをしたのです。このフーコールは仲間を探すときにリカオンたちが使う鳴き声です。何か起きたんだということを察したコールさんは、リーシェが案内する場所についていきました。そこには罠にかかったいろんな動物の死骸があり、さらにすすむと子リカオンが罠にかかっていました。
10ヶ月になったばかりのエンガミリアは残念ながらここで命をおとしてしまいました。次に見つけた子リカオンも罠にかかり意識がありませんでしたが一刻を争うため、ジャージをかけてそこにおいて先にすすみ、次の子は罠にかかったけれどなんとか抜け出せました。最後にはリーシェまでもが罠にかかってしまったが助けることができ、リーシェのおかげで2頭の子リカオンを救うことができたのです。このようがことが5回くらいありましたが、リーシェはいつも罠にかかった仲間を見捨てずに、コールさんに助けを求めてきて、群れをすくったヒーローです。
そのうちリーシェも、ウォーターズの子供を妊娠しました巣穴がとても遠かったのでコールさんたちは巣穴の近くにテントを張って様子をみていました。
朝起きるとテントの周りにリカオンたちがたくさんいて素晴らしい体験だったようです。
いろんな工夫をして巣穴を用意して、群れはいまや40頭にまで増え、南アフリカで一番大きな群れになりました。
しかし悲しいことにリーシェはある日ライオンにやられてしまいました。
ウォーターズは残された群れをみなくてはならなかったのですが、リーシェをなくした悲しみで、リーシェが亡くなった場所に何度も戻って行き傷心の末なくなりました。リカオンは本当に傷心で命を落とすことがあるのです。ブロークンハートシンドロームというようです。
残された群れをどうするかが問題だったのですが、ここでミラクルが起きました。以前わかれたタンダディーレの群れが、残された仲間を迎え入れたのです!通常は群れ同士が出会うと喧嘩になったりするのですがこの場合はお互いを受け入れたのです。
現在、スーパー6の子孫たちはアフリカのゴロンゴーサ国立公園などに移動して、新しい群れを作っています。コールさんの存在はリカオンにとって本当に素晴らしいものでした。
最後に、なぜコールさんがリカオンにこんなにも惹かれているかの説明がありました。リカオンの友情、楽しんでいる様子、絆、信頼、お互いケアするところ、愛情、寛大さ、キス、ハグ、ダンス、兄弟、家族、それらすべてがコールさんにとってのリカオンの魅力。これらは多くのリカオン好きと共通するところだと思います。
コールさんはほどなくリーシェとなづけた家犬を飼い始めました。リーシェは本当にとくべつなリカオンでした。
プレゼンは以上です。約30分程度で、その後に質問コーナーがありました。私が質問したことにもお返事をいただけました。テンベエレファントパークのリカオンのその後について聞いてみました。4頭のリカオンは元気にくらしており、どうやら家族が増えそうだとのことでした。
感動するウェビナーでした。リカオンの習性についてとてもよくわかりました。
Endangered Wildlife Trustは最近定期的にウェビナーを開催してくれているのでとても勉強になります。英語だけど、リカオンの写真などもみられるし、なんとか頑張って理解することができればリカオンの知識が高まります。
All images belongs to Mr. Cole du Plessis and Endangered Wildlife Trust