Wildlife Act Academyでリカオンについて学んだこと 捕獲と移動
Wildlife Act Academyでは様々な野生動物の移動(保護地区から別の保護地区への移住)の方法リカオンの捕獲と移動についてもレッスンがありました。リカオンの捕獲はどれほど大変かも説明されていました。本当であれば野生動物は好きに生きるべきです。保護が必要でない雄大な土地に好きに生きていたかっただろうと思います。このように自然を壊してほかの動物を締め出して快適に暮らしている人間は罪深いなと反省します。
リカオンの捕獲と移動の目的
- 一般的な移動
- 遺伝子管理
- 繁殖
- リハビリ
人間の人口増加が激しく、保護地区の縮小のため動物たちは孤立している。
遺伝子の悪化につながるため遺伝子のシャッフルが必要。
野生動物の健全で多様な個体数の維持が必要。
捕獲の計画で確認すること、必要なこと
- 動物の健康状態、子供の数、妊娠しているメス
- 性別と年齢
- 時期と気温
- 安全性と各動物の捕獲方法
- 鎮静剤と麻酔薬
- 移動用の箱
- 動物の健康状態(隔離等)
- 許可
- スタッフ
捕獲の前、捕獲中、その後まで慈愛をもって臨むことが大切。
捕獲された動物はストレスを感じ、困惑し恐れているため攻撃的になっていることを忘れない。
大量捕獲
- ネットをつかって捕獲する
Screenshot from Wildlife Act Academy Copyright Wildlife Act
これがネットを使ってリカオンを捕獲した時の写真 - ネットを使った捕獲の利点
・広いところで使える
・設置、外すのが楽
・ボマで捕まえられない個体の捕獲 - ネットを使った捕獲の難点
・動物にとってストレス
・怪我の恐れ
・体を張ることが増える
・ネットに捕まった動物を運ぶのに時間がかかる
・体力も時間もかかる
・ヘリコプター代が高額
麻酔銃
- 薬剤を注射する
- 野生動物捕獲では普通に使われる方法
- 一頭もしくは小さなグループの捕獲に使われる
- 科学的な知識と経験、スキルが必要
- 道具の選択も重要
- 長い麻酔銃は地面から広い場所を狙うのに適する
- 短い麻酔銃は囲われた場所やヘリコプターから狙うのに敵する
- 動物の皮の厚さも重要
- 近寄りやすさも重要
- これら全てが麻酔銃の強さやプレッシャーの決め手となる。
どのように麻酔銃を撃つか?
- 録音した動物の鳴き声を流す
リカオンの場合は、フーコール、もしくはトゥイッタリングを流す
Screenshot from Wildlife Act Academy Copyright Wildlife Act
餌を木の根元にくくりつけて置く
車の後ろに獲物を置いて引きずる - 12〜15メートル以内の射的距離が適当
- ターゲットの動物との間に障害物なしが必須
- 絶対に餌なしに録音した動物の鳴き声を流してはだめ
- 動物の鳴き声を流しすぎてもだめ
車からの射撃
- 公道に沿う
- 威嚇しない
- 辛抱強く待つ、軽率は禁物
- 90度のアングルが成功の角度
- おしり、後ろ足、肩、時として首のあたりを狙う
- 射撃後は動物を見失わない
リカオンの場合
Screenshot from Wildlife Act Academy Copyright Wildlife Act
これは気に括りつけたえさをチェックしにくるリカオン。じつに慎重。
- まず木に獲物をくくりつける
- リカオンとしては獲物がそこに横たわっている事が信じられない
- そのうち慣れて来て、食事を始める
- この時点で獣医は車を近づけ麻酔銃を放つ
- リカオンは驚いて逃げるがまた獲物に戻って来る
- そのうちぐったりと眠るので、そのタイミングでリカオンを捕獲する
Screenshot from Wildlife Act Academy Copyright Wildlife Act
麻酔銃で眠っているリカオンを運ぶ保護団体の人々 - トラッキング用の首輪をつける
Screenshot from Wildlife Act Academy Copyright Wildlife Act
麻酔で寝ているリカオンに目隠しをして発信機の首輪をつける
ヘリコプターからの射撃
- ヘリコプターの速度と動物が走る速度が同じになったら射撃
- 怪我をしたリカオンをヘリコプターから麻酔銃で射撃
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ヘリコプターから1頭のリカオンを狙う麻酔銃
麻酔銃を撃たれた動物(リカオンなど肉食獣の場合)
- 疲れて動きが遅くなる
- 視覚がはっきりしなくなる
- 人間に対しての恐怖心が薄れる
- 騒音に対してはっきりとしたリアクション
- 耳がたれる
- 後ろ足がぐったりしはじめ体全体がぐったりする
麻酔銃の利点
- 最も安全な捕獲方法
- 最も有効な手段
- 一頭を捕獲する場合は最も経済的
- 大きくて攻撃的な動物は管理する時に楽
麻酔銃の不利な点
- 動物との距離が不十分な場合がある
- ある種の動物にとっては実に危険
- 射撃に失敗すると、動物が動かなくなるのに十分でない場合がある
- 草などが邪魔する場合がある
- ヘリコプターが高額
- 事故の懸念
- 投薬のし過ぎで死に至る事がある
- 麻酔から起こす薬が間に合わないと動物は呼吸困難に陥る
麻酔銃をリカオンなど肉食獣にする場合の注意点
- 動物が完全にダウンしたとの仮定は禁物
- 歯や爪で怪我をする場合がある
- 薬が効いてダウンしている時間はおよそ7〜14分
- 静かに行動
- 目隠しは必須:直射日光が瞳を傷つけるし、怖がらせないため
- 耳が動き始めたら今にも目覚める直前!
- 必ず手袋をして、消毒液で手洗いを徹底
移動
リカオンの場合
- リカオンは群れで行動する動物なので移動する際は必ずリカオンの社会性を考慮する。
- 攻撃的ではない動物なので、車や人間に次第に慣れるため麻酔銃を打ちやすい。
- 群れから引き離されたリカオンが数時間後に群れに戻ると群れのリカオンに攻撃される事がある。
- 長い距離の移動の場合は箱にいれて移動。
- 短い距離の移動の場合はピックアップトラックの後ろに積み上げられ人間の付き添いのもと移動。
Screenshot from Wildlife Act Academy Copyright Wildlife Act
- 超長調距離の場合は飛行機での移動
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保護の目標
- 種の管理
- トラッキング用の首輪の設置
- 研究
- 遺伝子
- 罠を外して治療
- 移動
ボマとは?
- 人間が家畜を守るための囲い
- 野生動物の保護にも使用
動物の再導入
病気/ひとりぼっち/怪我をした動物を保護する場所
再導入の前の一時的な施設
動物同士の結束を高める - それぞれの動物の種類によってデザインされる
リカオンのボマの構造
Screenshot from Wildlife Act Academy Copyright Wildlife Act
- リカオンは土を掘って逃げる!
- ワイヤメッシュの裾が必要
- いつでも逃げるところを探しているため要注意
- 電圧が流れているワイヤの設置
Screenshot from Wildlife Act Academy Copyright Wildlife Act
水場
Screenshot from Wildlife Act Academy Copyright Wildlife Act
- 水場の設置が重要
- できるだけ自然に設置する事が大切
- 電圧のワイヤで水場付近を他の動物から守る
- ボマの中の草も管理
- ボマは中の動物が入れ変わるたびに掃除
- ボマはいつでも動物が受け入れられるようの状態を維持
Wildlife Act AcademyではQ&Aのセッションもあります。通常は南アフリカからライブでZOOMのQ&Aに参加できますがいつも日本時間では深夜でしたので私はほとんど参加できませんでした。一度、麻酔銃がリカオンにとって安全ではないのでは?という質問が湧いてきて、質問コーナーに投稿したらメーガン先生が答えてくれました。
質問:麻酔銃ではなく、例えば食べ物に眠り薬をいれて眠らせることは可能か?
返信:麻酔銃を撃つ獣医は野生動物の保護をする前に十分に訓練されている。麻酔銃の針は動物ごとに用意されており動物を傷つけることなく眠らせる事が可能で、皮膚を通り漉す事はない。眠り薬を餌にセットする事もできるが、動物がその眠り薬を食べるとも限らない。何頭かの捕獲が必要な時は眠り薬は適さない。どうしても麻酔銃が使えいい場合に限り、ボマ内で眠り薬を使用した成功例有り。
the-wildlife-act-training-academy.teachable.com
Wildlife Act Academyはもちろんリカオンだけでなく多くの動物をカバーして保護活動のとても基本なことを教えてくれました。地形とか、焼畑みたいなことも講義の内容に盛り込まれています。まだまだ座学だけの知識しかないけれど少しリカオンの保護に詳しくなれたかもしれません。英語に抵抗がない人は受けてみると良いでしょう。すべてのレッスンが終了したら終了証書をもらえます。私のはこちら↓
興味のあるかたは是非以下のリンクからレッスンを申し込んでみてください。
the-wildlife-act-training-academy.teachable.com