絶滅危惧種リカオンの応援ブログ

絶滅危惧種のリカオンに関する情報を発信し、保護活動に貢献することを夢見るブログ

リカオンについての説明や情報を発信しています。2018年から投稿を始めました。アフリカにあるリカオンの保護団体や、動物園からのリカオンに関する情報、リカオンに関する情報はなんでも投稿しています。

リカオンの専門家に取材させていただきました

私が2017年の秋にリカオンと初めて出会ってから、 もうすぐ4年がたちます。今までずっとリカオンの情報を求めてネットを徘徊したり、本を読んだり、動画をみたりしていましたが、先月ついに、リカオンの専門家にお会いして取材をさせていただくことができました。

リカオンの研究を専門としている、安家叶子さま。今は博士課程にいらっしゃいますが、大学の学部生の時からで主にリカオンの行動についてお勉強しています。リカオンの専門家はおそらく日本には彼女一人。大変貴重な方からお時間いただきました。稚拙ではありますが、リカオンの専門家によるリカオンのお話を紹介いたします。

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取材に応してくださったリカオンの研究家、安家叶子さま。

リカオンの専門家、安家さんとリカオン

リカオンを知ったきっかけは何だったのでしょうか。

覚えている範囲では、小さい頃から犬が好きだったので、大学1年生の時にイヌ科の図鑑のようなものを見ていてこんな特殊な種がいるんだな、とリカオンのことを改めて面白い動物だなと認識しました。

大学に入った時には、動物の何かを勉強したくて大学に入ったので、その時はリカオンに特化していたわけではありません。

どうして図鑑のリカオンに惹かれたのでしょうか。

もともと私は小さい頃からドキュメンタリー番組や動物番組を見ていて、アフリカのサバンナの光景に憧れを持っていました。それで感化されたのか、将来は絶対にアフリカに行くんだという強い思いを、小さいころから使命のような気持ちで持っていました。それもあり、動物好きなので、アフリカの動物に関する何かをしたいとずっと思っていました。

特に犬が好きで図鑑をみていて写真がたくさん出てくるので他の動物と比べても大変特殊で目立つ模様をしているので、すごく見入ってしまいました。どうしてこんな模様をしているのか、その1枚の写真に見入ってしまいそこから気になり始めました。改めて見ている内に吸い込まれてしまったという感じです。

どうしてそんなにリカオンに対して魅力を感じたのですか?

もともとイヌ科の何が好きかと言いますと、イヌ科の社会性です。群れで暮らして、その中でいかにみんなで生きていくか、という社会性が好きで、図鑑を読むうちに、リカオンはその社会性に長けた動物だと知っていく中で魅力を感じました。

研究をリカオンに絞った理由はなんだったのでしょうか?

知的好奇心が刺激され、図鑑や本を読むうちに、どうして、なんで?という疑問が多く生まれました。それが大きなきっかけです。また、いろいろなことがわかっていない、ということに対しても興味がありました。

今の研究はどんなことをされていますか?

現在の研究内容はリカオンの行動、特に社会行動を研究しています。どうしてあそこまで社会性の高い種になったのかそのモチベーションだったりとかを研究しています。

以前ズーラシアでお会いした時に、5分ごとに記録をつけていたのをご覧になったと思いますが、それも社会性の研究の一つです。

安家さんとアフリカ

アフリカにいくきっかけはなんでしたか?

イヌフェスでのお話では飛び立て留学JAPANという留学生のプロジェクトに参加されたと記憶していますが。

飛び立て留学JAPANは手段のようなものでした。きっかけは、幼い頃からの思いと、大学でリカオンの研究をしておりましたので、次のステップで野生のリカオンを見たいという気持ちがありました。そこでアフリカに行ける大学を探し、修士課程で先生を探して「アフリカに行きたいんですけれど」と相談をしました。そこで了承を得ましたので行くことになりました。その方が、リカオンの研究家であるグレッグ・ラスムッセン博士に紹介してくれて繋げてくださいました。

アフリカに行くの大変なことだと思いますが、決心するのに躊躇はありませんでしたか?

アフリカに行くために修士の先も決めましたし、たくさんしないといけないことはありましたけれど、目標に向けて用意をしていましたので、行くことに対しての躊躇はありませんでした。アフリカには6ヶ月ほど滞在しておりました。

アフリカでは何語を話されていたのでしょうか?

行ったのはジンバブエという国でもともとイギリスの植民地でしたので、公用語は英語です。そのほかにはそれぞれの部族の現地語が使われていました。英語もそのために勉強をしてなんとかなりました。

はじめてリカオンを野生で見た時はどんなでしたか?

初めて見た時のシーンなのですが、目撃情報があり、車でリカオンを後ろから追いかけている時でした。行くと、遠くにぴょんぴょん跳ねている何かの動物がいたのです。アンテロープとかクドゥとかそういうのではなく、それよりももっと軽い何かが跳ねているのを見たんです。そして、ラスムッセン博士に「あれはなんですか?」と聞いたら、「あれがリカオンだ!」となり追いかけていきました。それが1番最初の野生のリカオンとの遭遇でした。すごく身軽だなというか、あんなに跳ぶんだ!という印象でした。ズーラシアでもよく跳んでいますけれど、あの脚力というか跳躍力は、警戒であったり獲物を見つけるために活躍しているとおもいました。まだあの光景はよく覚えています。忘れられないですね。

アフリカで6ヶ月いる間、どのように毎日を過ごされていたのですか?

私は人生で1番働いたんじゃないかというくらい、朝から晩まで何かをしていていました。

日常は朝の7時にミーティングが始まります。電気はあるのですが供給がとても不安定で、 研究所だったのでソーラーパネルで電気を保つようにはしていたのですが、市内では毎日計画停電が日常の環境でした。ですので、夜はなるべく電気を使わないように、早く寝て日が暮れると生活が終わり、日が昇ると始まるという原始的な生活をしていました。

なので6時に日が昇ってきて、7時に朝食を食べながら、今日はどうするかとか、情報共有のミーティングがあります。それが7時半頃に終わるので、そこから、自分の作業に取り掛かりました。

7時から始まった日は、基本的にデータを整理したり、データを分析して、グラフを作ったり、文章を作ったりパソコンに向き合って、7時の晩御飯くらいまでしていました。その後、食事を作ってもらうので、食べながらその日の進捗についてミーティングをします。大体9時頃に食事や雑談が終わり、その時間はもう暗いので、自分の部屋に戻り、暗い中、ライトをつけながら読書をしていました。Wi-Fiも切られてしまいますので、ネットに繋げられないため、10時には就寝。翌日は6時にまた起床、という感じの暮らしでした。

フィールドにはどれくらい出かけられていたのですか?

週のうち、半分くらいはフィールドにでて、データをとり、残り半分は研究所でデータを整理していました。フィールドに出るときは、リカオンは早朝から狩りをしますので、朝4時や5時くらいからリカオンを探しに出かけていました。見つからなければ、ドライブをしながら探して、ランチは自然公園の中の日陰で簡単に作れるものを作って食べていました。

夕方になると、またリカオンを探しに行き、夜は、ベースという小さなキャンプを作り、屋根もない、砂の上に、寝袋でライオンとハイエナの声を聞きながら寝ていました。砂がサラサラなので、好みのベッドの形に砂を整えてから寝袋を敷いてねていました。枕の部分とかを作ったり、掘り起こしてフカフカにしたりして寝心地よくしていました。最初は、動物たちの声がどんどん近くなってくるので怖かったのですが、焚き火をたやさずにしていれば大丈夫です。焚き火も上手くなりましたよ。

野宿ということですよね、寝れましたか?

いえ、最初は全然寝れませんでした。清潔さでも日本とアフリカでは天と地ほども違いますし。でも、1ヶ月、、いや、1週間もすれば慣れましたね。もう、こういうものだという感じになってきます。リカオンが見れる!というときは忙しくて、全然シャワーも浴びれないですし、最長で4日くらいお風呂に入れない日が続いたこともあり発狂しそうでしたよ。(苦笑)車はあるのですが機材が積まれているので、人が寝れるところがないんですよね。

なかなかちょっと旅行に、、、という感覚ですと耐えられないでしょう。でも、研究目的でしたので、過酷でしたが、観光客であれば、それ用のロッジなどはありますよ。

リカオンの交通事防止のために道路サインなども自作されていましたね。

びっくりしましたよ、道路標識を立てるとうことでそれに向けてデータを取っていたのですが、実際に立てるときになったら、ラスムッセン博士がコンクリートを出してきたのです。「え?」となり、「業者に頼むんじゃないのですか?」と聞いたら、博士に、「こういうことができる人がいない」と言われて、コンクリートから作りました。いい経験でしたよ。

リカオンの研究家、グレッグ・ラスムッセン博士はどのような方ですか?

マグロのように止まらない人ですね。ずっと頭が動いていて、アイデアもどんどん出てきますし、一緒に研究をしていてすごく勉強になることばかりでした。人格者です。とても愉快な方ですよ。ビールが大好きで、土日は昼間からディスカッションしながらビールをあおっています。でも、研究となると無茶振りというような感じの時もあります。

一つのアイデアが出てきたら、それに取り掛かるまでずっと言ってきますし、データ解析の結果も早く見たいと言われていたのですが、フィールドに出ると、スケジュール的に余裕がなく全く休めませんでした。真っ暗闇でやっていましたよ、スパルタでしたけれど、真摯になって相談には乗ってくださいます。わからないことがあれば、聞くと、一から丁寧に教えてくださいます。

アフリカの現地でもリカオンはあまり知られていないのでしょうか?

私が最初に行って感じたことは、知名度の低さです。現地の人でも本当に知らない人が多くて、町に行ってお土産屋さんに、「リカオンの何かを探しています」と尋ねても、「なんだそれは?」と言って、「これか?」と出してくれるのがブチハイエナだったり、、それが日常茶飯事だったので、知名度の低さを感じました。

ファーマーの方、自然公園に近いところに住んでいる方達は、いい印象を持っていない人もいました。レンジャーの人たちの中には、絶滅危惧種だと知っている人が多いので協力してくれる方もいました。一般的にはそもそもが知られていません。

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安家さんが寄稿したズーラシアの冊子。アフリカのリカオンについて詳しく書かれています。

リカオンを触ったことはありますか?どんな感じでしょうか?

触りました。感触は、「犬」でしたね!麻酔銃で意識がなかったのですが触りましたよ。そのリカオンはスネアがひっかかっていた状態でしたので、眠らせて取りました。基本はそういうことがないと体に負担がかかるなどのリスクがあるので、無闇に麻酔銃は使えません。麻酔銃で眠っている時に

サンプルを取るのですが、例えば皮膚からDNAを取ったりとか、採血、毛を採取したりした時に触りました。触った感じはゴワゴワした犬ですね。野生なので毛並みが良くないし、夏だったので夏毛で、より毛一本一本が太くて、余計にごわごわしていました。冬になるともう少しふわふわした毛になるのかなと思いますが。

リカオンの毛はマダラで白いところはいつも白くて、黒いところはいつも黒い毛が生えてくるようなのですが、それは肌がそもそもマダラですか?

いえ、肌は黒かったです。

ということは、白い毛や黒い毛は勝手に判断して生えてくるというわけでしょうか?

そうですね、それがすごく面白いですね。

リカオンの匂いについて、臭いと言われていますが本当にそんなに臭いのでしょうか?

めちゃくちゃ臭いです。私は触った時に、シャワーをしても1日では匂いがとれませんでした。石鹸でゴシゴシしてもそう簡単には取れなかったです。触ったことを後悔するほどでした。たぶんそれもあって飼えないと思います。

ズーラシアリカオン舎の前に行くとたまにプーンとくる刺激臭がリカオンの匂いですね。獣臭とはまた違う感じの、他の動物にはない刺激臭が全身から出ています。

まだはっきりとわかっていないのですが、それが排泄物からの匂いなのか、体臭なのか、排泄物だとしても、リカオンは排泄物にすりすりするため、それでついているだけかもしれませんし、詳しくはわかっていません。

ただ、めちゃくちゃ臭いです。数時間前にリカオンが通った道にいくと、ここにいた、とわかるくらいリカオンの匂いの道みたいのがわかります。アフリカのどこかは忘れてしまいましたが、犬を使ってリカオンの匂いで追跡をしている研究チームもあります。

耳を触った時の感じを教えていただけますか?

もう、大きい犬の耳、という感じでした。犬と同じ触感ですね、表面面積が大きい犬の耳のようですね。

リカオンの歯について知りたいのですが、42本の歯を持つということは何かで読んだのですが。

歯の数は42本ですね。

リカオンの歯は裂肉歯と呼ばれる、肉を切り裂く歯がとても大きいです。食肉目のライオンやハイエナも大きいのですが、体積に比べて、リカオンの裂肉歯とても大きく、なおかつ、切り裂くだけでなく、すりつぶせるように少し平たくなっています。横から見ると、三つの山にみえる鋭利な歯ですがリカオンにはライオンやハイエナほどの顎の力がないため、先端がほんの少しだけ丸くなっており、切り裂きもできるし、ぐりぐりして噛み切ることができるようになっています。

リカオンと人間/ライオン/ハイエナ

人間との軋轢

以前インスタでリカオンが空き缶を食べている動画を見たことがありますが、そのリカオンは死ぬ運命なのでしょうか。

どれだけ食べてしまったかに寄るかと思いますが、消化はできないので、あとから出てくるだけのサイズに噛み切って飲み込んでいれば消化されずに出てくるかとはあるのですが、噛み切って鋭利な缶が内蔵を傷つける場合がありますし、消化不良を起こし、お腹にたまって命を落とすということが考えられます。

人間か勝手に捨てた空き缶を食べたリカオンを見て撮影をしているだけでした。勝手な行動でリカオンが死ぬかもしれないのはひどいと思いったのですが、こういう場合は助けることはできないのでしょうか。

これはすごく難しい問題だと思っていていますが、簡単に結論を言ってしまうと、見ても放っておくのがやはり1番、、ベストではないのですが、、、それはなぜかというとリカオンは人を避けて行動することが研究でもわかっており、においなどもそうなのですが、リカオンに触った場合、その後群れにもどり仲間とコミュニケーションをする過程で人間の匂いがすることがわかってしまいますし、人間に慣れて人間に近づくようになってしまうと、その個体は命の危険があるわけですからやはり、目の前のリカオンが瀕死の状態でも、空き缶が落ちていたとしても、それ以上人間の影響を与えないように過ごしていくしかないですね。

リカオンは人間を避けて暮らしているとおっしゃいましたが、それは我々がずっと昔からリカオンを迫害してきているので、人間のそばにいったら殺される、というのを学んで人間のそばに来なくなったのでしょうか?

リカオンには1900年代から長い迫害の歴史があります。そもそも野生動物というのは、知らない存在や見知らぬ生き物には簡単には近付きません。そういう理由もあるとおもいますし、あとは、人間がいるということはそれに伴い、他の動物が寄ってきている可能性もあります。例えば、人間のゴミを漁りにくる動物もいますし、野良犬などもいます。においのほかに、人間からの影響をうけるので避けて行動しているというのもあるかと思います。

動画でハイエナやライオンが人間に懐いているのを見たことがあるのですが、リカオンはいくら幼い頃から育てたとしても人間にはなつかないですかね?

そのような挑戦をされている人はアフリカのどこかにいるのではないかと思います。リカオンの人気が上がるにつれて。動物園などでもお互いのストレスを軽減するため、例えば、血液採集のために餌をつかって足を出すようにトレーニング(ハズバンダリートレーニング)をしたりしています。リカオンも、アメリカかどこかの動物園でそのようなトレーニングがうまく行っているのを見たことがあります。そういう事例をみると、トレーニングを小さい頃からしていれば、極論、飼うことはできると思います。ライオンとかのSNSとかにでてくるような動画が投稿されていますよね。ただ、それが野生動物、リカオンにとっていいか悪いかは置いておいて、、。

少しでも人間になつけば個体数が増やせそうな気もします。人間に可愛がられる可能性は高そうですし、もし懐いてくれれば絶滅危惧の懸念がなくなるのでは?と思ってしまうのですが。

絶滅危惧種になっている理由が、生態として、行動圏がかなり広いことや、大きな群れで狩りをする方法であったり、リーダーしか繁殖ができないという要素が合わさって絶滅危惧種になっているとは思いますが。リカオンの研究をしていると、一つ目か二つ目に必ず、「リカオンは飼えるんですか」という質問がでてきます。私は野生でのびのびしている動物が1番美しいなと思っていて、リカオンの走り回る姿であったり、人間を気にしない、興味がないというか、我々は我々の世界で、という姿に魅力を感じてしまいます。可愛いので、飼いたいというか管理したいという気持ちは人間らしい考えですが、それは、違うかなと思っています。野生でしか見られない美しさがあると思います。

リカオンの生息地について

リカオンはサハラ以南のアフリカ大陸に生息していますがそれ以外のアフリカでのリカオンはいるのでしょうか?

生息状況も、特にサハラ砂漠以南、特に南の方は安全なので、研究が活発です。やはり北の方にいくと例えばマリとかに行くと、内戦が活発なので、研究ができる環境とは程遠いのです。ですのでいけない環境の土地では研究が進まないため、いるかどうかもわからない、昔観察記録があったとしても現在はどうかわからない状況です。内戦は、爆撃などがありそれで動物も死んでしまうので、個体がいなくなっている可能性もありますし、どこかに身を潜めて隠れて生息している可能性もありますし、どこかに流れ着いているかもしれません。南や、東の方では研究が盛んなのでリカオンも多く見られるという状況です。アフリカの中でも、あの土地で研究しようとしたら、命がいくつあっても足りないと、グレッグ博士も言っています。それほど危険な場所のようです。日本人が足を踏み入れるにはとても危険な場所です。

例えば、動物園ではなく、広大な地域にリカオンを移動させたりできるのか妄想したのですが。例えば、アメリカで人口密度が低い土地などをリカオンのために貸し切りではないのですが、、

なかなか難しいんじゃないんですかね。それはやはり、リカオンの生息環境に適していないと難しいですし、その地域に獲物も準備しないといけないですし、リカオンは量も食べますから、サファリパークのようにして管理をしていかないと難しいとおもいます。もう一つは、その地域にある生態系が崩れてしまうこともあるので、難しいと思います。

リカオンは、殺し方が残酷だと言われるのですが、何も言い返せないというか、、私は人間の方が残酷だとおもっているんですけど、、

リカオンの殺し方がたまたま人間にとって視覚的に残酷であったというだけで、その種にとってはそれが最適な手法だったわけですので、悪いもいいもないのではないでしょうか。

私が説明するのが、リカオンやオオカミなどの捕食者がどう獲物を選ぶのかというので、弱っている個体や病気にかかっている個体を狙うという研究があるので、それを考えるとちゃんとリカオンによって、生物的に弱い個体が淘汰されているので生態系の中ではすごく重要な存在だと思います。

最近見るニュースで、アフリカでの開発が進む中で土壌や河川の汚染が取り上げられるたびに、嫌な気も日になり憂鬱になります。そういうときはどのように乗り越えられますか。

自分がアフリカにいた時もすごく感じました。ゴミもそうですし、開発による汚染であったりは、アフリカ全土で非常に多いです。ジンバブエなど、南アからサハラ砂漠付近は特に中国からの資本が大きく、その開発の支援をするというのはアフリカの人にとっては有益ですが、なかなか次に結びつかない開発支援方法がおおいと聞きます。例えば現地雇用を生まなかったり、技術継承が促進されなかったり。最悪の場合、現地で雇用された以外の人が建物を建ててそのまま帰ってしまって、ただその建物だけが残り、環境も汚染されてしまった。その対処法もわからないという状況が起きます。支援するのはさまざまなコストがかかりすごいし財力がないとできないことですが、政治的背景もあるでしょうしけれど、アフリカでそういうことを見てきました。このようなことに対して日本にいながら直接できることは少ないと思うのですが、日本にいることで、リカオンや生態系の保全であったりは、例えば、自然エネルギー、再生可能なエネルギーを使うようにするとか、なるべく地元の野菜を食べるとか、カーボンフットプリントの少ない生活を消費者として心がけて、小さな日々のことを気をつけるだけで環境にとっては負荷が少なくなると思います。

リカオンとハイエナ

リカオンを知ってから、ハイエナにも興味がでてきましたが、安家さんはどうでしたか?

ブチハイエナのことでしょうか?ブチハイエナも社会性が大変高く、興味深い動物だと思います。カメラトラップをみていると、リカオンが通過した2分後とかにブチハイエナが映っていることがよくあります。やはり、自分たちで狩りをするよりも、リカオンがとった獲物を獲る方が効率的なので、わかっているんでしょうね。でも、ブチハイエナも狩りはとてもうまいですよ!

リカオンとライオン

リカオンを知って、ライオンが嫌いになってしまったんですが、、子リカオンを見せしめのために殺したりしたのをみて、怖くて、、、安家さんは平気ですか?

百獣の王ではないですかね、、でもまぁ、それが野生の世界ですから、仕方がないというか、ライオンもライオンなりに生きていかないといけませんし。リカオンとライオンとハイエナはライバルなので、仕方がないといえば仕方がないですよ。実際にライオンはリカオンにとってとても大きな脅威です。特に、リカオンの子育てシーズンはとても重要で、巣穴をライオンに見つけられてしまうことが1番最悪なことで、子リカオンの死亡原因の一つにライオンからの襲撃が挙げられています。それくらい脅威ではありますが、ライオンも生きていかないといけないので。ハイエナはどちらでもないけれど、リカオンと背景は似ていますね。悪者にされてしまってね。

リカオン専門家だから知っているリカオン

我々が勘違いしている、リカオンに対する認識でお気づきのところはありますか?

研究をしている中で、特に寒い時期に動物園とかで研究をしているとアフリカに住んでいる動物が、こんな冬が寒い日本で生活していていいのかと、よく聞かれました。実は、アフリカのサバンナも冬、とても寒く、0℃下回るんですよ。砂漠気候なので、温度差がすごいんですよ。昼は20℃くらいまで気温があがることもあるのですが、夜は、氷点下になることもあります。昼間は半袖、夜はダウンを着ていました。ですので、リカオンは雪には慣れてはいないと思いますが、寒さ自体には大丈夫だと思います。

安家さんリカオンの好きなところをぜひ教えてください。

リカオンの密さが好きですね。リカオンは、アフリカに行って見ていた時、昼間40℃もある時に、木陰でみんなくっついてギュッとなって寝ているんです。見ているだけで暑いんですけれども、どうしてそんなにくっついているのか本当に不思議でしょうがないんですけれども、あの密さがいいなと思いますね。テトリスみたいにうまい具合に足や手を交互に乗せたりして冬ならまだわかるのですが、40℃の真昼間から暑苦しいなと思いながいつも見ていました。まだ、理由はわかっていないのですが、一緒にくっつくことで匂いがシェアされるのかなとか、そういうのもきっとあるでしょうし、カモフラージュというか、見つからないようにというのもあるかもしれません。

リカオンとの一番の思い出はなんですか?

それは、アフリカでリカオンを初めて触りスネアを外したときのことです。あれは1番大きなエピソードです。6ヶ月間いて、リカオンを助けたのはこの1回です。あとは、車に轢かれてしまったリカオンとか、、死体の状態はよかったんですが、打ちどころが悪く死んでしまっていて救えませんでした。スネアをはずせたリカオンのことは、やはり助けられたという達成感ではありませんが、それが一番の思い出です。

う達成感ではありませんが、それが一番の思い出です。

リカオンの保護のために、我々リカオンファンは何ができるのでしょうか。

3つあるとおもいます。

  1. 私であったり、リカオンの研究をしている人に対してご声援やエールがあるとすごく力になります!
  2. 現地でリカオン研究をしている人は、リカオンを探すのにガソリン代がかかったり、毎日のように車がパンクしてしまったりします。自然公園にはいるだけでも費用がかかります。研究するための費用が莫大にかかるので、現地の団体に寄付などをしていただくことができます。日本にはあまり寄付の文化がないようなので、ぜひ積極的に寄付をご検討いただくことができることの二つ目です。
  3. リカオンのファンの方はリカオンのことを愛してやまない方達だと思うので、なんでもリカオンについての発信をしていただくと、知名度を上げることに影響があると思うのです。友達に話したり、ブログを書いたり、リカオン自体についてだけでなく、リカオンを取り巻く環境であったりを積極的に発信していただければ、知名度の貢献につながると思います。

取材を終えて

絶滅危惧種リカオンの応援ブログは、一リカオンファンが運営している個人ブログのため、取材依頼もお断り前提で勇気を振り絞ってお願いしてたのですが、とても快くお受けいただき嬉しくてたまりませんでした。また、世の中が緊急事態という中で、実際に対面でお話を伺えたことは本当に貴重な体験でした。安家さんもこのブログの存在を知って下さっていて、リカオンの応援ブログの応援をしてくれていました。(笑)

安家さんは関西出身でスラッとしていてとても美しく、まるでジェンヌさんのようでした。 まだお若いのにとてもしっかりしていらして、尊敬の気持ちがますますふくらみました。

特に、アフリカでの体験は彼女にしか語れない貴重な情報でした。いくら文字を追ってリカオンの情報を得たとしても、実体験にはかないません。

リカオンの研究者である安家さんからのアドバイスを参考に、我々リカオンファンは、これからもリカオンを愛で、リカオンについて発信し、寄付をしたり、環境に気を使うなど、我々なりに出来る事をして行こうと改めて思いました。

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安家さんが作ったリカオンのステッカーをいただきました。ありがとうございます。嬉しい。