Wildlife Act Academyでリカオンについて学んだこと モニタリング
Wildlife Act Academyでは野生動物の保護についてオンラインレッスンを開催しています。1ヶ月のレッスンで現在は99ドルのレッスン料がかかりますがそれらは南アフリカの野生動物保護のための資金になります。7月から1ヶ月間メーガンさんのレッスンを受け、リカオンの保護について学んだことをメモとして記録に残します。
野生動物のモニタリングについて
Screenshot from Wildlife Act Academy Copyright Wildlife Act
現在アフリカには約400の絶滅危惧種の動物が生息していて、それらの動物をトラッキングすることは保護活動でとても重要。動物の個体を識別したり、行動の記録をしていく。また、病気、罠、密猟、動物の移住、動物の個体数についてもモニターする。
モニタリングではそれぞれの動物の行動や、社会性、食事のパターンなども記録していくため、後の保護活動や研究に役立てていくことができる。過去の行動と比較をしたりして動物を理解することによって、よりよく保護が可能。
例えば、リカオンの群れの社会的な構造を理解することによってどの個体に首輪をつけるか、近親相姦を避ける為にどの個体が交配しているかの把握、子供達の成長率や食事の統計、狩りの成功率、好みの食事などを知る事が可能。
現在野生動物の保護地区はアフリカ全土で点在しており、それらの保護地区の間を動物たちは自由に行き来することが困難。そのため、人間との軋轢が生まれ、家畜を襲った理由で殺されてしまったりする事態が発生。野生動物のモニタリングにより、動物達が次にどのように行動するかを予測して争いを避ける事ができる。
モニタリングのテクニック
首輪
リカオンに装着する首輪の発信器の信号でリカオンを追跡でき、怪我や罠にかかってしまったときの対応、保護地区から逃げてしまった場合でも比較的早く追いかける事が出来る等の役に立つ。この発信器は動物にとって実に苦しそうに見えるが、できるだけ邪魔にならないようにそれぞれの動物用に特別にあしらえてある。
カメラトラップ
カメラトラップ(隠しカメラ?)も一つの方法として、特にリカオンのように神出鬼没な動物や、夜行性の動物のモニターに役立つ。
データシート
観察の記録としてデータシートに記入すること
- 動物がどこにいくのか?
- どれくらいそのエリアに滞在したのか?
- 生息地を他の動物と共有しているか?
- リカオンの場合の例:
メスのリカオン22号は、2020年の1月10日に罠にかかった。
彼女は麻酔銃により保護され罠を外す事に成功。
彼女の体調は毎日観察されている。
実はこの記録はパソコンに残すだけでなく、紙でも残す事が大事。データは消えてしまう事があるため紙を残す。
写真
写真も保護活動にとても役に立つ。野生動物を観察することはとても集中しないとできないし、見逃してしまう事も多いため、写真があることによって、例えばリカオンの場合は見落としていた罠にかかっていることが発見されることもある。
写真は、ガイド、観光客からなど、多ければ多いほど個体識別や、行動の観察にも役に立つ。動物の両側からの写真があることが望ましく、この撮影が言うほど容易くなく、大変。(確かに、、、動物園での撮影でさえ大変なので野生となればどれほど苦労することか!)
IDキット
どうしてIDキットが必要かと言えば、それぞれの動物は1頭ずつみんな違うため、どの動物を観察しているか知る必要がある。個体の追跡を可能にし、保護地区の管理のアーカイブに残す、動物の移住や再導入にも役立つ。
Screenshot from Wildlife Act Academy Copyright Wildlife Act
リカオンのIDキットの例:記入事項は以下の通り
- IDの名前
- 性別
- 誕生日
- 群れのID
- 最後に観察された日
- 首輪のタイプ(装着されている場合)
- 首輪装着日(装着されている場合)
- 首輪の周波数(装着されている場合)
- 左向きの写真
- 右向きの写真
高優先種とは?
Screenshot from Wildlife Act Academy Copyright Wildlife Act
リカオン<ライオン=食べ物なし
リカオン<ハイエナ=食べ物なし
ライオンやハイエナはリカオンが捕まえた獲物を食べるため、ライオンやハイエナが多すぎる場合は上記の構図になってしまう。この場合はリカオンの保護が優先順位が高くなる。
Wildlife Actではリカオンを高優先種とし保護活動を推進。南アフリカでは現在約550頭のリカオンが生息しているが、クルーガー国立公園では5年間で約40頭のリカオンが罠にかかった。
罠のあるエリアで1頭が罠にかかってしまったら、必ず他のリカオンが探しに来るため、そのリカオンまでもが罠にかかるという悲劇が起きる。
過去5年間でWildlife Actはクルーガー国立公園の80頭のリカオンに首輪をつけ100頭のリカオンの移住のサポートをしてきた。そのおかげで、2006年には6つの群れしかいなかったリカオンが、今では14の群れにまで増加。
高優先種の保護には緻密な計画が必要。
リカオンの場合、絶滅危惧で、野生での生息数は約5000〜6500頭と言われ、南アフリカでは放し飼い(語彙、、)になっているリカオンは約600頭が生息。この数字は繁殖期等により大きく上下する。
リカオンの個体数の減少の理由
- 病気:犬ジステンパー、狂犬病、肝炎
リカオンはとても社会性が高く、接触が多いため感染症には実に弱い。1頭のリカオンがうっかり病気をもった家犬やジャッカル、ハイエナと接触した場合、群れ全体が感染し、仲間が全滅する事がある。 - 農場や地域から家畜泥棒としての誤解
リカオンが家畜を襲うとして、銃殺、毒殺の犠牲になる。
(願わくは最近のPRによってリカオンの好感度が上がりますよう!) - 罠にかかる
野生動物の肉を捕ったり食べたり売ったりする人間の設置した罠の犠牲になる。
以下、罠にかかり3本足になってしまったリカオンと、罠にかかって怪我をし治療を受けるリカオン、どちらもオンラインレッスンからのスクリーンショット。
Screenshot from Wildlife Act Academy Copyright Wildlife Act - 生息地の消失
人口増加にともない、生息地を奪われている。
リカオンの群れが30〜40頭の大きな群れになると巨大なスペースが必要。
現在、生息地の縮小に歯止めがかからない状況。
オンラインレッスンのはじめの方は野生動物のモニタリングについての講義になっています。以下のサイトからオンラインレッスンを申し込むことができます。(英語でのレッスンで、ミニテストもあります。英語の得意な人はおすすめですが、きちんとレッスンをうけないと次にいけないので心して臨みましょう。)