All Creatures Episode 108 リカオン専門家のインタビュー
All Creaturesというポッドキャストで、以前リカオンが紹介されたのですが、また、リカオンが取り上げられました!
今回は、リカオンの専門家である、ラスムーセン博士がインタビューに応じていて、およそ1時間以上も話してくれています!
こちらがエピソード108へのリンクです!
Photo Credit: All Creatures Podcast Dr. Rasmussen
ポッドキャストを聞いてみるととても面白いエピソードが聴くことができました。長いので、いま、メモを取りながら聞いていますが、まず、ラスムーセン博士がはどんな人かということから始まります。
ラスムーセン博士は、ジンバブエでフィールドにでてリカオンの研究をしている専門家。もともと爬虫類の生物学者だったのに、リカオンのプロジェクトに1987年に無理やり6ヶ月間参加させられました。そのときにリカオンにはまり、以来、32年間リカオンを研究し、人生をリカオンに捧げています。
現場で研究する生物学者のため、野生にでてリカオンを初めて見て、まぁ、爬虫類じゃないけれど面白いとおもい、一つの群れを集中的に追いかけて研究して、リカオンの魅力にはまった博士です。
ある日事件が起きて、11頭のリカオンから成るシャンヴォリー(現地のことばで、友好的な、という意味)パックが、ライオンに襲われてオルナという名前のリカオンが死にかけていました。野生動物に人間が介することの葛藤で、リカオンを助けるべきか獣医と口論があったが、人間がリカオンを殺したために絶滅危惧になったので、助けなくてはと思い、次の日、もう一度様子を見にいきました。しかし、オルナはいなくて、ひきずられたあとがあり、夜のうちにハイエナに食べられたのかという結論に達しました。
10頭になってしまったシャンヴォリーパックを引き続き観察していると、一頭がどうもおかしな行動をしていることに気がつきました。サーカスと呼ばれるリカオンが時々消えてしまう。ある日、あとをつけてみると、サーカスが、死んだと思われていたオルナを訪ね、怪我をしているところを舐めてあげたり、お食事を持って行ってあげて、3ヶ月をかけて看病して、オルナがまた歩けるようになるまで待ってまた群れに合流しました!!!この行動をみたラスムーセン博士は、リカオンの専門家になることに決心をしたのです。
ラスムセン博士の話はとても面白くリカオンへの愛に溢れ、また、クリスさんという、All Creatures Podcastの方も、リカオンの魅力に取り憑かれているのがよく分かりました。全部ドクターが行ったことをうまくまとめて、後日追記しようと思います。とくに、ラスムセン博士が今後向き合うプロジェクトなど、リカオンの保護活動にとても重要なことが話されています。すべての内容を少しずつ追記していきたいと思います。
P.S.
ようやくPodcastを日本語でまとめることできたので、以下ご興味有る方は読んで下さい。観光がリカオンの体にどのように影響しているかもお話されていました。
人間はリカオンから実に学ぶことが多いのです。仲間同士では喧嘩をしないし、子供の頃から、リーダーになっていく訓練はするけれど、喧嘩しているわけではなく、基本仲良し。アルファは、いばるためではなく群れを率いるために頭の良いリカオンを選びます。決して力が強いリカオンが選ばれるわけではありません。そして仲間同士は会うたびに挨拶をするし、絆を深めます。
ラスムーセン博士はデータを集めていて、リカオンが家畜を襲うことについておよそ3年ほど研究し、データを集めた結果、リカオンは1.7パーセントしか殺していませんでした。多くの家畜はもっと他の理由で死んでいたのです。 じゃ、なんで?というと、リカオンが嫌いだから、という理由だけで家畜の死はリカオンのせいにされていました!なんでそれを先に言ってくれなかったんだ、、、という気持ちだったそうです。
ジンバブエのリカオンの人口は700頭くらいまで復活しています。彼が調査を始めた頃は、フワンゲ国立公園にリカオンは居なくなっていたのですが、現在は数が少しだけ回復しており、ジンバブエは、今はリカオンが撃たれて命を落とすことはなくなりました。ここまでくるのに12年間もかかりましたが、このようにリカオンが大事にされているのは全世界でジンバブエだけです。ラスムーセン博士の地道な努力のおかげです。
保護活動に関しては、ゴールを達成して、休めるということではないため、ラスムーセン博士は継続してリカオンのために尽力しています。 リカオンの名前に関して、なぜワイルドドッグ と呼ばれてしまったのでしょうか?もともと、ペインテッドドッグ、ペインテッドリカオン、トライカラードッグ、などでしたが、リカオンを嫌う村人などが、120年前のマーケティングのせいで、リカオンはワイルドドッグ という名前にされてしまいました。そのイメージのせいで、余計にリカオンが嫌われる原因になってしまったのです。 最近になってようやくリカオンは、ワイルドドッグというよりは、ペインテッドドッグのほうがふさわしいということに気がつき、良いイメージを持つような努力がされています。
プラネットアースでもリカオンの狩りの様子が収められているようです。だいぶ昔の映画みたいですけど、、、これは見てみたいと思います。 その映画では、リカオンが獲物をおっているようすがうつっているようですが、獲物をキャッチするところはうつっていません。その獲物を追う時の組織というか、決め事、例えば誰が先にいって、疲れたから次の個体が前にでる、などはどうやって連携しているのかは、ラスムセン博士にとってもまだ解明できないこととなっています。
リカオンの群れは適材適所が本当によくできていて、リカオンはアルファ、ベータ、ガンマの順に序列がきまっており、アルファが怪我した場合、ベータがアルファの代わりを努めます。アルファが戻れば、ベータもベータにもどるという具合です。
ラスムーセン博士が研究していたある群れにはマゼランと呼ばれるリカオンが居て、彼は、ガンマのリカオンでした。指示があれば確実にこなし、実に誠実なリカオンでした。ガンマは特に優遇されるわけでもないけれど仲間の一員で大事にされます。マゼランは、GPSのついた首輪をしていたわけではないけれど、いつでも迷子になっているリカオンで、群れはいつでもマゼランの帰りを待っている感じでしたが、よく観察するといつでも、10キロほどのたくさんの餌を巣穴に持ち帰ってくれるリカオンでした。
リカオンは狩りに行くときに、巣穴にベビーシッターを残していきます。360度みまわして、ライオンやハイエナいないか、今出かけることができるかを見極めて狩りにでます。その巣穴のベビーシッター役によく選ばれるのがマゼランでした。
しかし、一度巣穴が危険な状態になったならば、そういう場合は、子リカオンを別の場所に隠して狩りに行っていたのですが、あまりに危険な場合は、ベビーシッターに残るのはマゼランではなくて、アルファです。普通は狩りをリードするのはアルファなのですが、その辺でも役割分担が実にうまくできています。 リカオンはめちゃ頭がいいのです。
ラスムセン博士の印象に残るもう一頭のリカオンはビッグフットという名前のリカオンだけれど、3年間もその姿をみつけることができなく、大きな足跡だけをみていたそうです。とても大きな足のリカオンで、彼の群れは、昼に狩りをするのではなく、夜に狩りをするようになりました。どうやら原因は、人間との軋轢で、ビッグフットの群れは時間のバランスをすごく細かくとって、人間と出来るだけ出会わないようにしました。月明かりがほとんどなくて、視界が良くないときでも狩りに行き、人間に見つかって銃殺されるよりはましだと考えたようです。本当に頭が良いのです。
リカオンの場合、狩りの時間というのがあり、通常は朝5時から朝9時、かなり組織がしっかりしており、2頭のリカオンだと、クドゥが倒せます。獲物を狙うときは鼻を掴むことが多いです。かなり効率的に獲物を倒せます。
博士の意見ではリカオンの未来について、やはり生息地が奪われていることがかなりの懸念です。現在高速道路ができていることで、Zambezi国立公園を通る高速道路とビクトリアフォールのあたりでリカオンが交通事故にあってしまうのです。リカオンだけでなく、他の野生動物もかなりの被害にあっています。そこで、博士はサインを設置しようとしています。高速道路の近くでは、リカオンの群れは18ヶ月以上生き延びることができていません。群れの重要なメンバーが車に轢かれた場合、群れ全体が被害を被ってしまうからです。
もう一つの問題としては、博士が集めているデータによると、どうやら観光がリカオンの個体に影響しているようなのです。人々がリカオンを好きで観光でリカオンにあいにきます。観光地のガイドはリカオンの巣穴を見つけ、お客さんを案内しています。
観光客に知られている巣穴と、観光客が来ない巣穴を隠しカメラなどで観察し、博士が過去五年から六年の間に集めたデータを比べると、観光客が来る巣穴のリカオンは、巣穴を頻繁に変えなくてはならず、引越しの間に子リカオンを失うことも多いことがわかりました。
また、子リカオンは1日8回から10回の食事をせねばならないところ、引越しなどで5回しか食事ができなく、成長する時間を取られてしまうのです。その影響で、なんと子リカオンが成長し巣穴を後にするときにはなんと、足の長さが通常よりも7%も短くなってしまうことがわかりました。観光客が来る巣穴のリカオンは最終的には大人になっても6%足が短く、これは野生では致命的です。獲物を追うときも、逃げるときも、6%短い足だと100%の足の長さのリカオンに比べれば生存率は低くなります。
今後のリカオンの未来の希望としては、南アフリカにはKAZA, Kavanga Zambezi Transfrontier Conservation Areaがあり、5カ国が一緒になって野生動物の関係を研究したり保護する地域です。 サファリで夢にまでみた動物を生かしておくことがどれだけ費用がかかることなのか我々にはまだ理解できていないかと思いますが、 道路のサインを作るだけで25000ドルがかかるし、その後リサーチをしてデータをとるにも12ヶ月はかかります。こういう事も理解できないといけません。
ツアーも、観光団体からのではなく、保護団体から許可を受けたツアーでちゃんとしたツアーが広がれば素晴らしいということです。 博士が30年くらい前にジンバブエでリカオンの研究を始めたころは、リカオンはもうジンバブエでは絶滅寸前だったのです。でも、現在はその可能性は少なくなっています。
博士のやっているリカオンの保護団体は、Painted Dog Research Trustといって、科学的にデータをあつめ、今後のりリカオンの保護に役立てていることと、また、若い動物学者を育てることが目的です。今後のリカオン の保護に、ただ頭でリカオンを知っているだけでなく、きちんとフィールドワークができる人が必要で、そのサポートをしています。 多くの人間が少しでも興味を持ち、環境に配慮ができるようになれば、リカオンにも、地球にも未来があります。少しずつ人々の意識が変わっていることが救いです。
ひとりひとりが、保護団体になるのです。 このAll Creatures Podcastでは80以上の動物をカバーしていますが、リカオンの紹介には特に力を入れたようです。
お話に出て来たKAZAと、博士の団体のリンクは以下です。