リカオンとは?
リカオンは、人口の約20%にしか知られていない、アフリカのサハラ砂漠以南に住む絶滅危惧種のイヌ科の動物です。野生には約6600頭しかいない、珍しいリカオンはどのような動物か、リカオンの生態、狩りの様子、仲間の絆、リカオンのいる動物園などをご紹介いたします。
- リカオンはイヌ科!
- 見た目の特徴!
- どこに住んでいるの?
- 何を食べるの?
- リカオンの狩りについて
- リカオンの天敵は?
- リカオンは絶滅危惧種
- リカオンの鳴き声
- リカオンの習性
- リカオンはペットとして飼えるか?
- 日本でリカオンがいる動物園
リカオンはイヌ科!
リカオンはイヌ科の動物で、リカオン属唯一の動物。飼い犬やオオカミとも、とてもとても遠い遠い親戚になるようです。国際自然保護連合(IUCN)からは2016年に、レッドリストと呼ばれる絶滅危惧種に指定されています。現在野生ではおよそ6600頭しかいないと考えられています。リカオンは、群れで行動する動物で、6頭から多いと、30頭以上の群れになります。
見た目の特徴!
全体的には犬のようですが、一番の特徴は大きくて丸い耳です。耳の中からは、白いふわっとした毛が生えています。また、足はとても細くて長いです。毛の色は、黒、茶、白、黄土色のまだら模様で、細い足には、比較的白地に黒い斑点があることが多く見られます。
この体の模様からリカオンの学名は、Lycaon Pictusと名付けられました。Lycaonは、ラテン語で「狼」、Pictusは「彩られた」という意味で、直訳すると「彩られた狼」という意味です。このまだら模様は、タルサ動物園の情報によれば、獲物に対して、リカオンが群れに何頭いるのか分からなくするためだそうです。
リカオンの毛皮については、こちらの記事に詳細を投稿したので、是非参考にしてみてください。
体の大きさは、鼻からしっぽの付け根まで、約75〜110cm。体重は役17〜35キログラムほどです。 男女でサイズの差はあまりなく、雄のリカオンのほうが約5cmほど大きい程度です。ジャーマンシェパードよりもずっとスマートな体つきですが、メスのジャーマンシェパードくらいのサイズと想像してもらえればよいでしょう。
しっぽにも特徴があり、しっぽの先は、大体白くふわふわになっています。これは、草原で狩りをする時にしっぽが目印になり役立ちます。しっぽの長さは約40センチ。
首や顔周りもふわっとした毛が生えており、顔は茶色がベースで、鼻面と目の周りが黒く、目はつぶらで、オレンジっぽい色です。そして、まつ毛が長い!額の真ん中に黒い鼻筋のようなものが通っています。
また見た目にはわかりにくいですが、他のイヌ科と大きく違うところは、リカオンの爪は4本!親指にあたる5本目の爪がありません。リカオンの爪については、こちらの記事を参考にしてみてください。
どこに住んでいるの?
アフリカ大陸の、サハラ砂漠より南と言われており、だいたいアフリカの南のほうの国に生息しています。アフリカのサバンナ、主にボツワナ、ザンビア、ジンバブエ、モザンビーク、タンザニア、ケニア、南アフリカなどの国に生息しています。IUCNに掲載されている詳細の地図でご確認くださいませ。IUCN Red List maps
オレンジ色になっているところがリカオンの生息地。アルジェリアの南、リビアの国境近くの黄緑色は、リカオンが住んでいると考えられている場所です。
かつては、アフリカ大陸のもっと多くの地域に生息をしていましたが、住む場所を奪われ、現在では、かつての棲息地域の約1パーセントにまで減ってしまい非常事態の中でリカオンは暮らしています。
何を食べるの?
リカオンは、肉食の捕食獣で、草食動物を捕らえて食べます。トムソンガゼル、インパラ、ニアラなどのレイヨウ類を獲物として好みますが、イボイノシシなども食べます。ヌーや、トピ、シマウマなどリカオンの体よりも何倍も大きな動物でも、仲間で協力して捕らえることができます。最近では、ヒヒを捕らえたリカオンがいるとナショナルジオグラフィックの記事に出ていました。
リカオンは獲物を捕らえてから数分間で静かに食事を済ませます。そうしないと、とらえた獲物を狙ったハイエナやライオンが横取りしに来てしまうからです。横取りされる前に急いで食べるのですが、その食べた肉はお腹のなかにためておいて、後に吐き戻し、巣穴に戻り子供達に与える事ができます。
リカオンの狩りについて
リカオンは、狩りがとても得意です。足が速く、狩りをしている時には獲物を追いかけ、時速60キロにも達することがあります。群れで行動しているため、群れに多くのリカオンがいるほうが有利です。
リカオンにはスタミナがあります。大きな肺と心臓をもっているので、何時間でも高速で駆けて行く事ができるのです。仲間同士で鳴き声で指示をだし、獲物を追いかけ続け、相手が疲れたころに襲います。
狩りの成功率は、サバンナではナンバーワン。約80%の確率で獲物を捕らえることに成功します。これは、ライオンの20〜30%、ハイエナの60%と比べると、かなり高い確率です。リカオンに狙われたら、逃げ切る事は難しいと考えられます。
リカオンの狩りの動画等をご覧になると分かるかと思いますが、狩り獲物を捕らえたら、即食べる、これが鉄則。そうしないと、ハイエナや、ライオンに横取りされてしまうからです。
最近では、泳いで獲物を捕らえるリカオンの動画もありました。参考までに是非ご覧ください。実に珍しい瞬間です。まさに狙われたら最後。
リカオンの天敵は?
リカオンは、野生動物の中でも非常に強い動物で、1番の天敵はライオンです。子供のリカオンにとっては、 ハイエナも天敵になり得ます。また、人間は、リカオンだけでなく全ての野生動物の天敵だと考えられます。人間の住むところを拡大するため、野生動物の居場所が奪われています。人間は広大な移動場所を必要とするリカオンにとっては天敵です。
リカオンは絶滅危惧種
リカオンはアフリカで2番目に絶滅が懸念されているイヌ科の捕食獣です。国際自然保護連合でも、レッドリストに登録されている貴重な生物です。
リカオンが野生で確認されている数は、3000頭とも5000頭とも言われています。情報が公開された時期にもよります。現在は、比較的前向きな個体数が発表されており、およそ6600頭という数が報告れています。
かつては広大なアフリカ大陸の砂漠、熱帯雨林以外のかなり広い範囲でリカオンは生息していたようですが、人間との関係性、住む場所が狭くなってしまったことが主に絶滅への危険性を促したようです。現在でも家畜を襲うという理由でリカオンは銃殺されてしまったりしています。地域の人々への教育が足りない事も原因でもあるため、リカオンについて子供達に教える保護団体もあります。長い間誤解をされ、迫害されてきたリカオンですが、ようやく人々はリカオンがそれほど悪い動物でないことに気がつき始めています。
リカオンの迫害の歴史について、詳しいインタビューがあったので、内容をまとめた記事を投稿しました。是非参考にしてみてください。どれだけリカオンの数が減ってしまったかがよくわかります。
あまりにも個体数が減ってしまったため、サファリなどで遭遇する事が難しく、写真やドキュメンタリー等、メディアへの露出が他の野生動物に比べ少ないのがリカオンの認知度の低い原因かと思います。ですので、リカオンのことを知っている人はとても少ないです。リカオンの事を知っている人は貴重ですので、是非世の中に広めるようにしてください。
2018年の11月4日から8日に、ドイツのボンで国際会議が開かれ、リカオンをはじめとする、4種類の大型補食獣で、絶滅危惧種のリカオン、チーター、ライオン、ヒョウをアフリカ全土で長期で保護活動を強化することが決定いたしました。
詳細は以下の記事を是非ご覧ください。
リカオンの保護活動は様々な保護団体によって行われておりますが、Wildlife Actでは、コロナ禍により観光客が減ったため資金が足りずにオンラインレッスンなどを儲けて発信をしています。リカオンの保護について学ぶ事が出来ます。
リカオンの鳴き声
リカオンは、犬に似た姿で、英語では、African Wild Dogといわれますが、犬のようにわんわん吠えたりしません。コミュニケーションは鳴き声でとっていますが、声がとてもかわいい!捕食獣らしからぬ、かわいい小鳥のさえずりのような声をしています。キュルキュルというか、、そういった感じの鳴き声で、興奮してくると、ヒヒヒヒと少し笑ったような声に鳴ります。また、迷子になった時は、首を下げて、フーフーフーと仲間を捜す声(Hoo Call)を出します。リカオンは鳴き声で複雑なコミュニケーションがとるため、約18種類もの鳴き声を使い分けているようです。
この動画でリカオンが狩りに出かける前の鳴き声がよくわかります。興奮してキュルキュルないていますね。
フーコールに関してはこちらの記事も参考にしてみてください。
リカオンの習性
リカオンは群れで行動する動物です。最低でも6頭のリカオンが群れで行動することが狩りの成功の秘訣のようです。30頭以上の大所帯のリカオンの群れもあります。
アルファペアと呼ばれる、オスとメスのペアが群れのリーダーとなり、群れの中で繁殖するのもこのペアのみ。広い行動範囲を必要とし、縄張りを持っていないため、一日に何キロも移動します。繁殖の時期のみ、別の動物が使った古い巣穴を使い、子供のリカオン達が大きくなるまでの数週間は一カ所にとどまります。
社会性が大変高く、群れの仲間で助け合います。子供の面倒も群れのリカオン全員でお世話をし、例えばケガをしてしまった仲間がいても、見捨てずに群れで助け合いながら生活します。仲間同士の関係はとても穏やかで、序列も決まっていますが、オオカミほど激しくありません。子供リカオン達は、大人になるにつれて、オスのリカオンは自分の育った群れにとどまり、メスは自分の群れを離れて、別の群れに移動します。
コミュニケーション力が高く、狩りの前に士気を高めるようにダンスをしたり、お互いの鼻面をくっつけあいます。よく、重なり合って休んでいる姿が写真に収められています。
そんな仲良しなリカオンでも、群れ同士で出会ってしまった場合、喧嘩になることがあります。別の群れの仲間に入る事は、相手に受け入れられないと大変な目にあいます。相手の群れが大きすぎるところに入っていくのも大変危険を伴います。
リカオンのチームワークについて詳しく書いた記事があるの、ご参考までに。
リカオンはペットとして飼えるか?
さて、こんなリカオンですがペットとして飼うことは可能なのでしょうか?実は、令和2年6月1日から、リカオンをペットとして飼うことは禁止されました。リカオンは「人に危害を加える恐れがある」という特定動物ですので、マイクロチップを埋めたり、飼育の基準を満たしていないと難しく、動物園などで特別に飼育はできますが、ペットにはできません。(令和2年6月1日以前はできてたのかというと、厳密には自治体の許可があれば可能でした。)しかし、もしできたとしても、リカオンをペットして飼うことはそうとうヤバイという記事を書いたので是非参考にしてみてください。
そんなわけで、リカオンは動物園での飼育はできますので、我々は動物園にリカオンに会いにいくことがいいのではないかという結論です。
日本でリカオンがいる動物園
日本では、3ヶ所の動物園でリカオンが飼育されております。
それから、珍しいリカオンの剥製を見ることができる動物園もあります。
詳細の投稿は是非こちらをご覧ください。
※このリカオンに関する一般的な情報は、更新して行くようにいたします。
最終更新日:7/24/2022
参考:
オオカミと野生のイヌ
ナショナルジオグラフィック 1999年5月号
小学館の図鑑NEO 動物 イヌのなかま
ウィキペディア
IUCN
MPALALIVE!